マンションの寿命

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私たちはマンションを長持ちさせるために日々業務を行っています。
 
そんな業務の中、最近良くご質問頂くきます。
「マンションの寿命ってどれくらい?」
 
様々な意見がありますが、ひとつはコンクリートの中性化が寿命に大きく影響されると思います。
 
マンションが竣工した直後は、コンクリート内部は非常に強いアルカリ性を保っています。
このアルカリ性によって、内部の鉄筋が錆びないでいる事が出来ます。
 
しかし、経年によって外壁側より徐々にアルカリ性が失われ、中性に近づいていきます。
これが、コンクリートの中性化です。
コンクリートが中性化すると内部鉄筋の防錆効果が失われ、鉄筋が錆びやすくなると言われています。
 
鉄筋が錆びると、体積が膨張して被りコンクリートを剥落させ、構造体の強度を低下させます。
この状態が広範囲に、また主要構造体に生じると、いよいよマンションの寿命となると思われます。
 
私たちが管理組合様のお手伝いをさせて頂いている大規模修繕工事は
ひび割れ等の劣化の修繕と共に仕上げ材を健全化し、この中性化を遅らせる工事です。
 
 
写真は1969年に竣工したマンションです。
残念ながら取り壊しとなってしましました。
 
中性化がどの程度進行していたかは分かりませんが、適正な修繕工事を行っていれば
もっと使用できたはずです。
 
マンションの寿命を定義するには、コンクリートの中性化はひとつにしか過ぎません。
耐震性や給排水設備をはじめとする各種設備、住みやすさなど、取り壊し決定まで
様々な要因があると思います。
 
そこに住む人々が、長期的に安全で快適な住まいとなるためには、私たちがどのように行動できるか。
この取り壊し現場を眺めながら、考えた一日でした。
 
ピンク